アフガニスタンの人々にリソースへのアクセスを提供するHesabPay
by アルゴランド財団 Matt Keller & Haichao Zhu
2021年8月、米国とNATO軍は約20年間駐留していたアフガニスタンから撤退しました。その結果、米国が支援していた政府はあっという間に崩壊し、混乱が生じ、タリバンが久々に絶対的な権力を取り戻しました。
アフガニスタンの人口の97%は貧困線以下で生活しています。国連世界食糧計画(WFP)によると、人口の半分にあたる約2000万人が深刻な食糧不足に陥っており、長期にわたる栄養失調に陥っている5歳未満の子ども100万人以上をはじめ、多くの人が飢餓の危機に瀕しています。 運良く生き延びた子どもたちにも、一生を左右する病が待ち受けているのです。このような状況において、人道的支援の必要性は、おそらく他のどの状況よりも重要であるばかりか、生死にかかわる問題です。
このぎりぎりの貧困に加え、干ばつ、世界的な食糧価格の高騰、国際軍に伴う支出の撤退により、アフガニスタンの経済は絶望的な状況に陥り、仕事はほぼ皆無で、生きるために日々努力しているのが現状です。
制裁、資産の凍結、銀行部門の麻痺、現物通貨の不足は、アフガニスタン経済の流動性を極端に制約し、人道的危機を悪化させています。一般のアフガニスタン人が利用できる唯一の資源は、WFPやユニセフ、大規模な非政府組織(NGO)のような機関であることが多いのです。このような状況の中、HesabPayというアフガニスタンの企業がアルゴランド・ブロックチェーン上に決済プラットフォームを構築し、国際救援組織から受取人へのデジタル決済を直接促進することに成功しました。
HesabPayは、アフガニスタンの法定通貨であるアフガニをその預金に基づいてデジタル・アフガニ(Afn)として発行し、アルゴランド・ブロックチェーン・ネットワーク上で取引を決済しています。アフガニスタンの人道支援活動と金融排除ギャップを埋めるため、アカウントを持つ携帯電話であれば、誰でも自分のデジタルAfnを送信し、使用することができます。ユーザーは、ネットワークを利用してデジタル決済を行い、商店での買い物、通信時間の購入、電気料金の支払いを行い、最寄りのHesabPayオフィスに行って、法定通貨とデジタル・アフガ二のオン/オフ・ランピング(出入金)を行うことができます。このように現地で管理されているHesabPayオフィスは国中に広がっており、すべてのユーザーが簡単にアクセスできるようになっています。また、スマートフォンではなく、基本的なフィーチャーフォンしか持っていないユーザーには、HesabPayはユーザーのアカウントを表すQRCodeカードを提供しています。ユーザーがこのQRCodeを提示すると、加盟店はQRコードをスキャンして顧客のアカウントからの支払いを要求し、顧客は支払いを確認するために必要な詳細を記載した確認SMSメッセージを受け取ることができます。
この動画では、オンボーディング(利用開始)プロセスと、デジタル・リテラシーの有無にかかわらず簡単かつ効率的に使用できるよう、明確な手順を紹介しています。
HesabPayは、階層化されたKYCによる厳格なリスクベースのコンプライアンス・プログラムを採用しています。WorldCheckとの統合により、制裁を受けた個人がアカウントを開設できないようにし、Chainalysisとの統合により、すべてのネットワーク活動の厳密な監視を保証しています。HesabPayは重複を排除し、流通コストを削減し、紙幣を必要としないことを保証します。これまで、全34県で40万人のユーザーと3,000の加盟店による450万件の取引がありました。HesabPayの取引はアルゴランド・ブロックチェーン上で非常に低コストであり、アルゴランドのおかげで、すべての小売ユーザーと加盟店に無料で提供されています。
迅速で、信頼性が高く、追跡可能な直接支払システムがアフガニスタンにもたらす人道的影響は甚大です。最近の評価では、女性が直接支払いを受けることで起こるポジティブな変化、そしてそれが彼らの家族やコミュニティにとって何を意味するかが記録されています。また、HesabPayは、デジタル・リテラシーの低さが克服できるハードルであることを示し、極めて脆弱なアフガニスタンの女性がデジタルのみの取引を通じて、切望されている資源にアクセスできるようにしています。
アルゴランドがインパクト領域のプロジェクトを支援する際、様々な要素を検討します。ブロックチェーンは、その課題を解決するために最適な技術なのか?最も疎外された人々にとってどのような影響があるのか?もし肯定的であれば、これらのソリューションは拡張可能か?これらのソリューションは環境的に持続可能か?
HesabPayの場合、彼らが提供している、どうしても必要なリソースへの迅速かつ信頼性の高いアクセスに関するソリューションが、世界で最も疎外された人々にとって重要であることは、最初から明らかだったのです。アルゴランド・ブロックチェーンは完璧に適合しており、ブロックチェーンを通じて、金融包摂は、膨大なニーズがある世界中の多くの場所で拡大し、改善できることがますます明らかになってきているのです。シリア、イラク、ソマリア、などなど、考えてみてください。
個人的な話になりますが、私は2010年と2011年にMITメディアラボの「One Laptop per Child(子ども一人ひとりにラップトップを)」というプロジェクトの取り組みを主導していたとき、アフガニスタンで何度か仕事をしたことがあります。私たちの目的は、子どもたちや学校に、低年齢層から高齢者層まで幅広い層の子どもたちの興味を引くコンテンツを満載した丈夫で安価なラップトップを届けることで、批判的思考能力を高め、学習へのアクセスを向上させることでした。私たちのミッションは、特に長年学校に通えず、今もなお正式な学校教育を受けられずにいる少女たちに届くように設計されています。学校に行ったこともない若い女の子たちが、ラップトップでコーディングやインターフェイスを学ぶ姿は魔法のようであり、その素晴らしい成果を披露するよう求められたときに見せた自信は伝染するものでした。
私はアフガニスタンを訪問している間に、アフガニスタンが大好きになりました。山岳地帯の荒涼とした美しさ、出会った人々や私を受け入れてくれた人々の無限の優しさは、今も私の心に残っています。しかし、最も印象に残っているのは、子どもたちが異なる考え方を学び、国境を越えた世界とつながるために、テクノロジーを活用しようとする多くのアフガニスタンの人々の決意です。
当時も、そして今も、基本的なニーズは大きく変わっていません。HesabPayとの提携は、アルゴランド財団が世界で最も環境に優しいブロックチェーンを活用し、世界で最も疎外された人々を支援する人々を継続的にサポートするために、私たちが誇りに思うことなのです。
元記事:https://www.algorand.foundation/news/hesabpay-giving-access-to-resources-for-the-people-of-afghanistan
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